【退院へ】大腸憩室炎(入院14日目)

2013年5月23日(木)

 入院14日目。救急搬送から丸2週間が経過したことになる。

 憩室炎と診断された下行結腸(左下腹部)付近の痛みは全くなく、触診で押した時におこる圧痛も全く感じられない。

 ただし、無色透明の便が出る現象(尿管と大腸の癒着が原因?)については、回数は徐々に減りつつあるが、依然続いている。この点については、退院後の日常生活においてもそれなりに支障が出ると予想される(トイレに行く頻度が懸念)が、自然治癒を期待し、しばらくは様子をみる以外ないだろう。

 

 一方、前日のブログにも書いたが、今日は院長が不在のため、退院目処については進展がないものと諦めていた。ところが、どこでどういうやり取りがあったか知らないが、午後遅くになり、看護師から明日退院となることが告げられた。

 皮肉にも、私に退院を伝達してくれた看護師は、私にセカンドオピニオンを最初に強く勧めてくれた方だった。彼女は私の早期退院にはあまり賛同できない様子で、特に流動食しか許されていない状況で特例的に退院することは、退院後の生活や食事に細心の注意を払う必要があることを丁寧に説明してくれた。また、改めて下行結腸の炎症は憩室炎ではなく、ポリープである可能性も示唆。看護師として医師の診断に異論を唱える立場にないが、と前置きしたうえで、可能な限り早い時期での再検査を勧められた。強い危機感を丁寧に説明してくれた彼女に対する私の接し方がいけなかったのだろうか、退院の喜びで、危機感を正しく理解できていなかったのだろうか。彼女は少し苛立っているように見えた。

 

 いずれにせよ、条件付きながら明日は退院の運びとなった。これから自分を律していかなくてはならない。入院か退院かの一番の大きな違いはこれであろう。これとはすなわち、外圧により律するか、自身の力により律するかの違いである。

 

 最後に、
 週末の子供達の運動会に行けることを何より幸せに思う。
 自宅で家族と一緒に寝起きし、食事し、生活できることを何より幸せに思う。
 仕事があり、職場に仲間が居て、自分の居場所があることを何より幸せに思う。
 全てのありきたりとあたりまえが、今日も続くことを何よりも幸せに思う。
 たった14日間ではあるが、入院という非現実生活は、多くを教えてくれた。

 

 明日、いやもう今日になったが、退院する。

 誰に書くともなく、いや、自分がいつか読み返す時のために書いた。もう書き残したことはないと思う。

 退院を節目にこのブログを終えようと思う。

 

2013年5月24日(金)早朝

 武蔵野市のとある病院にて。

大腸憩室炎(入院13日目)

2013年5月22日(水)

 入院13日目に突入した。

 院長曰く、1時間半から2時間間隔でトイレにいきたくなる現象は、下行結腸が炎症を起こした際に、その裏側を通っている尿管と癒着を起こし瘻(道)ができてしまっているのではないかとの推測。その結果、尿が大腸に流れ込み、頻繁に便意が起こるが、排便すると無色透明の水が排泄されているのではないかとのこと。この推測から、今日、急遽尿検査を行うことになったものらしい(ちゃんと背景を説明して欲しい)。

 実は、この推測を聞いたとき、なるほどと思ったことがあった。それは、排便する際に、下行結腸の背中側に重苦しさを感じていたからだ。自分としては、今回の炎症以外に別の疾病が隠れているのではないかと内心ドキドキしていた訳だが、この推測を聞いて合点がいった。これまで実感していたことと辻褄が合うのである。

 なお、この瘻ができる現象は、それほど珍しいことではないらしく、大抵の場合、自然治癒するそうで、あまり心配しなくてもよいらしい(その後、徐々にではあるが、無色透明の排便回数は減少してきている)。

 上記の病状を重く見ているからではないと思うが、食事は依然として「おもゆ」、治療も抗生剤+輸液セットの治療は変わっていない(ただし、流動食開始に伴い、輸液は3本から2本に減少)。

 ほかの状況は、全く安定しており、自分自身では、今すぐにでも退院したいのであるが、実はまだ退院の「た」の字も医師の口からは聞いていない。明日あたりこちらから、そろそろ退院させて欲しいと切り出そうと思ったが、折悪しく、明日は院長が不在のため、最短でも金曜日にならないと判断はつかないとのこと(看護師からの説明)。

 

(今日の治療)

 10:00~10:30 抗生剤(チエナム点滴静注用キット0.5g)

 10:00~13:00 ソルラクトS輸液(500ml)

 13:00~16:00 ソルラクトS輸液(500ml)

 19:00~19:30 抗生剤(チエナム点滴静注用キット0.5g)

 

 今日は、このほか入浴のイベントがあった。ざっと2週間振りに風呂に入った。何度も書くが、普段あたりまえにしていることが、ひとつひとつ新鮮に有り難く感じられることは、闘病の功徳だと思う。

 でもね。でも、もうそろそろ功徳も積んだことだし、退院させて欲しい。どこも具合が悪くないのに、日がな一日ベットの上にいるのは正直辛い。何もしない(ベットの上でできる範囲で何をしていてもよい)というのが、思いのほか根気と胆力の要ることだと気づく。

 

(蛇足)

 今日も一日「おもゆ」でした。看護師さんに聞いたところ、明日も一日「おもゆ」とのこと。不謹慎ながら、できることなら「おもゆ」一杯とタバコ1本またはコーヒー一杯を交換して欲しい。

大腸憩室炎(入院12日目)

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2013年5月21日(火)

 入院生活も12日目に突入した。今日から流動食が許可された。初日の食事はだいたいこんな感じ(画像は昼のメニュー。デザート以外は朝も夕も同じ)。

 ・おもゆ(見た目は糊、ドンブリ一杯ある)
 ・味噌汁(具なし、シジミ風味)
 ・デザート(ヨーグルト)

 美味しいかどうかはご想像にお任せするが、おもゆは味がないので、食べても食べても減っていく感覚がない。そこで唯一の塩気である味噌汁を混ぜてみた(快挙だと思った)。超薄塩味シジミ風味のおもゆドリンクができあがった(暴挙だった)。もう二度とやらない。

 食事の開始と機を合せて、採血検査もあった。白血球数などから炎症反応を診る目的らしい。

 腸の痛みはほとんど感じないが、1時間半から2時間感覚の便通(無色透明、無臭の水)は変わらない。また、触診による腸の硬さは、右側は脂肪のように柔らかいが、左側は筋肉のように硬いことが自分で触ってもはっきりと認識できる。この点については、再度内視鏡検査をするなり、精密な検査が必要と思われる。

 こんな状況で退院目処はまったく立たないものの、今週末は子供達の運動会が予定されている。とくに長女は小学校最後の運動会。吹奏楽団のトロンボーン・パートのリーダーでもあり、彼女の集大成は是非この目に焼き止めておきたい。

(補足)

 週末の運動会に向けて、最低でも一時外出したいことを院長回診の時に伝えたところ、食事が始まってからの状態にもよるが、絶対に許可できないというほどの感触ではなかった(ように感じた)。願わくば、金曜日までに退院したいものだが、ダメでも一時外出で応援に行けそうだ。

 

(今日の治療)

 昨日と同じなので記載省略。

 また、明日は尿検査があるようだ。流動食開始、血液検査、尿検査と続いたことが、退院に向けての準備だと思いたい。いずれも良い結果となることを祈るばかり。

 加えて、明日は入浴させてもらえるらしい。入院して12日間(明日で13日目)の入浴だ。待ち遠しい。

大腸憩室炎(入院11日目)

2013年5月20日(月)

 入院11日目。今日から流動食開始のはずが、主治医(院長なんだけど)が勘違いしたらしく明日からのスタートに変更。食事ができないことに然程の苦痛は感じないのだけれど、これで退院が1日延びると考えると苛立ちを覚える。医師の発言には責任を持って欲しい。

 結局、明日から流動食になるらしいのだが、看護師曰く、まずはじめは文字通りの流動食でオモユ?、いわゆる糊状の食物を出されるらしい。それで様子を見て、下痢や嘔吐がなければ徐々に3分粥、5分粥と固形度を上げていくという。そんな悠長なことしてられないから、一日でも早く食事を始めたかったのに・・・と、改めて憤る。

 一方、病状はというと、自覚症状はほとんどない。ただし、お通じは依然として頻繁で無色透明な水状のものが排泄される。また、医師や看護師の触診によれば、左下腹部の一番炎症が大きかった部分は、相変わらず硬い状態にある。これは自分で触っても分かるが、もともとそんなもんじゃねえの?とも思える。

 更に気がかりなのは、やはり看護師からセカンドオピニオンを勧められること。あれからも断続的に勧められているが、内視鏡検査時の写真にはポリープとも見えるものが写っているのだそうだ。ここの院長は老齢でもあるし、最新の情報や医療を持って改めてしっかり検査すべきというのが看護師有志の見解らしい。この病院って大丈夫なのか・・・という思いは禁じえないが、まあ、アドバイスは大事にしようと思う。幸い、来月に定期健康診断が予定されているので、その際にでも改めて大腸内視鏡検査を希望するつもりだ。

 明日はいよいよ12日振りの経口食だ。ぜんぜんワクワクしないけど、腹痛や嘔吐にならないことを祈ろう。

 

(今日の治療)

 昨日と同じなので記載省略。

 

 夕方、嫁さんと子供たちが面会に来た。セカンドオピニオンの件がズッシリと重くのしかかる。仕事なんかよりも家族の幸せのこと、自分の健康のことを第一に考えるべきだと強く思う。

大腸憩室炎(入院10日目)

2013年5月19日(日)

 今日はお腹の張りが大分(7割くらいか)引いてきた。炎症が起きていた左側の下行結腸部分も強く押さなければ痛みはない。

 明日から流動食をはじめることにもなった。結果的に絶食は10日間。書いてみるとたいそうに感じるが、実感としては、さしたる苦労もなく10日が経過してしまったというところだ。むしろ、口から食事を入れることの方が少し怖い気がする。

 体調が回復してくると、いままで気に止まらなかったもの、目に入らなかったものが意識の中に入ってくる。看護師さんの顔と名前、動き方や性格。隣のベットのジジイの動き、家族、人間関係など・・・どうでも良いことが意識に入ってくる。人間なんて現金な生き物なのだとつくづく思う。今はただ一日も早く退院したいと強く思うようになった。

 

(今日の治療)

 10:00~10:30 抗生剤(チエナム点滴静注用キット0.5g)

 10:00~13:00 ソルラクトS輸液(500ml)

 13:00~16:00 ソルラクトS輸液(500ml)

 16:00~19:00 ソルデム3輸液(500ml)

 19:00~19:30 抗生剤(チエナム点滴静注用キット0.5g)

大腸憩室炎(入院9日目)

2013年5月18日(土)

 入院9日目。炎症の痛みはほとんど感じなくなったものの、1時間から1時間半間隔の排便は依然止まらない。排便といっても、無色透明(無臭)な水が出るだけなのだが、昼夜を問わずトイレに立たなくてはいけないのは鬱陶しい。少なくとも、この状態が改善に向けての正常なプロセス(通らなくてはならない通過点)なのか、異常なのかハッキリさせたいところだけれど、看護師さんに訴えても頷くばかりで是非について答えてもらえない。また、医師に聞いても丁寧な説明は得られず、忙しいこともあっていつも中途半端。

 一方、お腹の張りについては、幾分の改善が見られるようになってきた。明らかにお腹の出っ張り凹んできているので、これは良い兆候と見て良いだろう。

 本当ならば、透明な便とお腹の張りの関係が明らかになり、体調の改善が実感できるのが患者にとって一番ありがたいのだが、どうにも上手くいかないものである。

 また、別の動きとしては、看護師さんからセカンドオピニオンの受診を勧められた。その数なんとこれまで5人である。そこまで勧める理由を聞いてみた。

 どうやら、看護師さんの何人かは、私の下行結腸憩室炎の診断に疑問を抱いているようである。憩室の数が尋常ではなく多いこと、炎症が酷いことが、疑問の理由のようである。また、私の入院する病院は外科が種であり、一応、大腸内視鏡検査の施設はあるものの、結果の分析に至っては、他分野の医師の視点も含めた多角的な分析ができないことに看護師としても限界を感じている様子であった。

 とはいえ、お腹の張りも改善をみせており、ここにきて転院、さらに検査に踏み切るには、既に仕事を10日以上休んでいる現状からも難しい。かといって、複数の看護師から異口同音に勧められた再検査も無視するに忍びない。ひとまずは、退院後、体調の落ち着いた段階で、大病院の検査を受診したいと思う。

 

(今日の治療)

 10:00~10:30 抗生剤(チエナム点滴静注用キット0.5g)

 10:00~13:00 ソルラクトS輸液(500ml)

 13:00~16:00 ソルラクトS輸液(500ml)

 16:00~19:00 ソルデム3輸液(500ml)

 19:00~19:30 抗生剤(チエナム点滴静注用キット0.5g)

 

 職場の先輩から見舞いのメールを貰った。全開したら何でも好きなものを奢ってくれるという。20年来の付き合いで、20年前にも同じ様なことがあった。いつもご自身よりも私を優先してくれる。照れくさいし面と向かってお礼を言ったことはないが(当然このブログの存在も知らない)、いつか先輩が本当に困ったとき一番力になってあげたい。

大腸憩室炎(入院8日目)

2013年5月17日(金)

 とうとう救急搬送されてから一週間が経過してしまった。当初、一番痛みのあった左下腹部(下行結腸)は、まだ少し痛むものの急激な差込が来るようなことはなくなった。

 反面、大腸が機能していないせいだろうが、膨満感がひどい状態が相変わらず続いている。日々目に見えた快復があるとは思っていないが、患者の気持ちとしては、昨日よりも今日に期待したくなってしまうのは心情というもの。それなのに、目に見えた進展がないのはとても辛い。

 差し当たっての治療は、抗生剤と電解質を補うこと。これは昨日までのブログに書いたことをそっくりそのまま繰り返しているに過ぎない。

 私自身はというと、腹痛は収まったものの、短期間での定期的な排便が収まらない。排便といっても、無色透明の液体が少しか、多少、褐色を伴う(腸壁のカス?)のようなものが混ざる程度で、膨満感を解消してくれるようなものではない。これが、1時間から1時間半間隔で、しかも就寝中も絶え間なく繰り返されている。正直辛い。辛いが、炎症を起こした腸が健康を取り戻すために代謝したものが排出されているのだと信じてトイレに行っている。

 医師の回診もあったが、腹部を触診し、腸の硬さがとれてきており改善しているとの見解。もうしばらく今の治療を継続し、腸の腫れが引くのを待つしかないとのこと。そんな悠長な・・・。

 職場に電話し、まだ経口食が許可されていないことなどを伝え、あと1週間の休暇を許可してもらった。この間、休日勤務2回、勤務時間変更1回を誰かに肩代わりしてもらうことに。本当に申し訳ない。

 元来仕事至上主義では毛頭ないし、むしろそうした考えを毛嫌いする方であるが、自分の不始末(体調とはいえ不始末には違いない)で他人に迷惑をかけるのは、この上なく辛い。

 とにかく、今は疲れた臓器を休め、薬で治療する方法しかないのだと思う。ただ、週明けになってもなんの進展がないなら、セカンドオピニオンなども探って行きたい。

(今日の治療)

 10:00~10:30 抗生剤(チエナム点滴静注用キット0.5g)

 10:00~13:00 ソルラクトS輸液(500ml)

 13:00~16:00 ソルラクトS輸液(500ml)

 16:00~19:00 ソルデム3輸液(500ml)

 19:00~19:30 抗生剤(チエナム点滴静注用キット0.5g)

 

 夕方、子供達がそろって見舞いに来てくれた。何を話すわけではないが、また明日も来ると言って帰っていった。ヒゲが伸びたと驚いていた。退院するまで伸ばし続けようと思う。

 家族みんなが揃っていられることの有り難みを改めて感じた。闘病の功徳なるものがあるのだとすれば、きっとこれこそが、それに違いない。